2025.04
特別対談
静岡から世界へ
お茶が持つ
無限の可能性を拡げたい



しずおかフィナンシャルグループでは、
地域産業の発展のために、
海外ネットワークを
活用した幅広い支援を行っています。
今回は、株式会社おさだ製茶の長田社長に
お話を伺い、静岡県の伝統産業の一つである
茶産業の
「輸出による販路開拓」と
「茶農園の活性化」に向けた
取り組みについてお話いただきました。
PROFILE

代表取締役社長

国際営業部
このままでは、
お茶王国・静岡がどうなって
しまうのかという危機感

工藤
お茶といえば静岡の伝統産業として名高いですが、国内需要の低迷や茶園の後継者不足により、近年では茶園面積がかつての半分近くに減少してしまって、農家さんの数も激減している状況ですよね。

長田氏
そうなんです、お茶の供給量が将来的にもますます滞っていくのが目に見えていますし、そのうえ荒茶(製茶前のお茶)の価格も、買う側の我々でさえ安すぎると感じる程で、非常に危惧しています。

工藤
とはいえ、「需要がない」というわけではないんですよね。


長田氏
はい、特に海外市場では今後も多大な需要が見込まれていて、弊社で力を入れているオーガニックのお茶も欧米を中心に大変人気があります。
ただ静岡のお茶農家さんの供給力に限界があって、生産が追いつかない。私も鹿児島や宮崎に視察に訪れる機会があるのですが、あちらは逆に意欲的で茶園面積も減少せずにキープできているんです。

工藤
常々農家さんと強い信頼関係を築いておられ、生産者さん側の要望に即した価格での買上げにも努められている社長からは、そういった静岡茶の現場における窮状についても伺ってきましたね。

北米最大のお茶展示会
「World Tea Expo」や
世界最大級のオーガニック食品
専門見本市「BIOFACH」に出展

工藤
そのような状況をふまえて、静岡銀行としても、市場が縮小する国内向け販売だけでなく、販売単価の高い市場向けに輸出を後押しすることが必要だと思っています。
2024年には、日本からの緑茶の最大輸出国で輸出額が毎年拡大するアメリカに照準をあてました。同市場への直接販売は一部の製茶業者様しか取り組めていない状況だったこともあり、静岡銀行が北米最大の大規模展示会「World Tea Expo」にて「Tea Capital Shizuoka(茶の都しずおか)コーナー」を設営し、おさだ製茶さんの出展をサポートしました。

長田氏
以前から出展したいとは思っていたものの何らかのサポートがなければ難しかったので、そういった支援をいただいて一歩踏み出せた感じです。
出展したところ大変良い反応がありまして、ブースを訪れたバイヤーさんが翌週には来日して弊社まで来られて継続的な取引に繋がったり、来年はさらに量を確保したいという要望もあり金額的にも相当な金額の商談が成立しました。



工藤
そういった反応があると、この地域のお茶の魅力が世界に広がっていくのを実感できますね。
静岡銀行としては、2025年はアメリカに加えて、同国に次ぐお茶輸出相手国であるEUに照準をあて、EU全域を商圏とする卸売業者やディストリビューターが集積するドイツで開催された世界最大級のオーガニック食品見本市「BIOFACH」への出展を企画しました。
EUへのお茶輸出には、農薬基準に準ずる必要があり、同市場での拡販が、静岡県内の茶農家におけるオーガニック茶園への転換の後押しに繋がることも期待しています。加えて、アメリカの「World Tea Expo」の方も継続して出展をお手伝いしまして、おさだ製茶さんの強みである有機栽培茶の更なる販路開拓の足掛かりにと考えております。

長田氏
ドイツはEUのハブ的要素もあると認識していますので、期待も大きいです。
抹茶が人気のアメリカと比べて、ドイツでは煎茶の需要も多いなどの違いも出てくるので、その現地に合わせた製品をアピールしていきたいです。
世界中で愛される静岡茶へ
嗜好や文化に合わせて
フレキシブルに

工藤
今後も、欧米や中東など世界各地で積極的に事業展開を進められたいとのビジョンを伺っております。

長田氏
世界各地で流通を拡げていくにあたり、その土地の嗜好や文化、認証基準に合わせて柔軟に対応できる製茶の環境を一層充実させていきたいですね。
この工場も6年前に完成して世界各地からバイヤーさんが見学にいらっしゃるようになり、以前の伝統的な風情の時とは違って信頼性という面で評価をいただき、ニーズも大幅に増えてきました。


工藤
これからもお力になれればと思います。静岡の誇りであるお茶を世界へ発信して、静岡茶産業を盛り上げていきたいです。

長田氏
ありがとうございます。お茶のニーズはアメリカ、ヨーロッパだけでなく中南米や中近東にも広がってきていますので、我々が積極的に世界へ出向いてアピールしていくことが静岡のお茶農家さんを助けることに繋がると思います。
最近は若い生産者さんたちが海外需要に着目してお茶作りを協力してくれる機会も増えて、未来は明るいです。




